3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)の2016年春夏メンズコレクションは、1900年初頭の由緒正しいアメリカンファミリーが主人公。高学歴でリッチな彼らにあう洋服にイマジネーションを膨らませて、コレクションを制作している。
また、スポーツの要素もポイント。目指すのは、泥臭さやガツガツした雰囲気のない、アイビー・リーグのクラブのような爽やかなスポーツスタイル。フード付きのアウターとショートパンツの組み合わせは、ノーカラーのシャツを差したり、爽やかな色彩でまとめ上げたりして、品よく仕上げている。また、フーディやビッグポケット付きのジャンパーには、アメリカンガーデンの総プリントを施し、上品に。
コーディネートの特徴は、同系色で統一すること。ショーは、ブルーからはじまり、ダークトーン、アースカラーへと変化。また、ロングレングスとワイドシルエットの掛け合わせも要となり、太ももまでのびたシャツとワイドパンツのマッチや、丈長なダブルのスーツなどが繰り返し展開される。
コレクションにユーモアをもたらしたのは、イチョウのモチーフ。肌触りのよいポンチョやスウェットトップスの中央にあしらったり、カーディガンのボタンに添えたりして、華やぎを与えている。また、広葉樹独特のイエローは、ブルーの世界の差し色となった。
今季のコレクションノートには「何か新しいものを創るには、それを破壊することから始まる」という、デザイナーフィリップ・リムの言葉が記されている。根底にあるのは、上流階級のファミリーによるクラシックだが、スポーツ・ミリタリー・ボタニカルモチーフ…といくつかの解釈を加え、新しいアメリカンスタイルを提示している。