ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)の2016年春夏コレクションの主題は、「MASCULINE LIGHTNESS(男らしい軽さ)」。最新テクノロジーによる“軽い素材”とリラックス感のあるシルエットで、軽やかで男らしい現代的な男性像を描いている。
前半のキールックは、比翼仕立てのベストの上にカーディガンのようなダブルブレストのニットジャケットをはおり、かなり太めのタックパンツとグルカサンダルを合わせたスタイル。パンツはわたりはもちろん裾幅も太めで、シルエットは80年代の“ザ・アルマーニ”的な雰囲気。歩くたびに上質な素材がゆるやかなドレープを描く。といっても、上半身はほどよくタイト&コンパクトだから、古くささとは無縁だ。
クルーネックニットにスカーフを巻き、シングルベルトの2タックのグルカパンツを合わせたルックもハイライトのひとつ。ニットはカラフルなモチーフが多く、全体的なシルエットは体に沿っているのに首元は大きく開いていて、その空間を埋めるようにスカーフをゆるりと巻いている。
中盤から後半にかけては、自転車での移動を連想させるアイテムが登場。乗車時に裾を巻き込まないようにパンツの裾をゴムでまとめたスタイリングをはじめ、ニッカボッカのようなパンツ、メッセーンジャーバッグのように斜めがけしたレザーバッグ、シームテープをパイピングのように使ったスプリングコートなどが提案された。。そして本丸のお出まし。オールネイビーのスポーティな出で立ちとモデルとともにランウェイに現れたのは、都会とは不釣り合いなファットタイヤを履いたマウンテンバイク。今ミラノで一番カッコいいのは、こんな意外性のあるバイクなのかもしれない。
カラーパレットは柔らかい中間色が中心で、様々な色調のヌードカラー、色褪せたブルーやグリーンが印象的。素材で目を惹くのは、グレンチェック、ガンクラブチェックなどの英国の伝統的なモチーフを柔らかく表現したものや、ウォッシュ加工のシルク。コーティングされたガンクラブチェックは、独特の光沢とドレープ感があり、伝統的なモチーフに新しい魅力を加えている。
TEXT by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)