ジェニー ファックス(Jenny Fax)が2015-16年秋冬コレクションを発表した。テーマは「方程式」。ショー形式での発表ではなく、映像作品の制作によって表現した世界観は、これまでとはまた違った新たな一面を見せている。
物語の舞台となったのは宇宙。その中にある別々の星の様子を、同じ時間軸という共通項で繋いだストーリーだ。登場するのは、人間のように動けるロボット、ロボットに会いたい女の子、ロボットになりたい2人の子ども、天女。決して出会うことがないけれど、何かが繋がっている感覚。寂しさや希望、見えないものへの憧れ。広い宇宙空間のあちこちにある、そうした心の動きは、時間という繋がりを通して1つの映像へとまとめあげられた。
そんなストーリーから繋がっていくコレクションには、これまでのジェニー ファックスらしく、淡い色彩とガーリーでファニーなデザインが目立つ。その中でも特に目を向けたいのは、宇宙を連想させるようなエッセンスが多く取り入れられていること。銀河の星々をイメージしたかのように、オーガンザのスカートやうねりの中にドットが散りばめられているし、毛足の長いニットには天の川のようなアップリケが。パンプスやプロテクションの付いたブーツ、アルミホイルのようなドレスは、無機的なシルバーカラーがスペーシーな印象を与える。
それから少年性・少女性といった要素も目立った。これは今シーズンに限ったことではないけれど、そうした要素が青い目の少年として、具象化されていることは特筆すべきだろう。透け感のあるチュニックや、身体をすっぽりと包むケープ。そこには、子どもの姿が描かれていて、その複雑な感情を訴えるような視線を向ける。その他にも、淡いピンクのセットアップや、白いレースのミニワンピースなど、ロリータファッションの影響を感じるアイテムが多数登場した。