ニール バレット(Neil Barrett)が、2015-16年秋冬コレクションをイタリア・ミラノで発表した。ニール・バレット本人のルーツであるブリティッシュ・テーラーリングとパンクを、ミニマルでモードなシルエットと最新技術で再構築したコレクションだ。
革新的なアイテムはファーストルックから登場。グリーンとパープルの柄が光の明暗で浮き立つウールコートの上にミリタリーブルゾンを羽織ったように見えるアイテムは、実は重ね着ではなく縫い付けられている。前立ての部分やリブの繋ぎの部分までが精緻に計算されており、凝視しないと分からない完成度を誇る。
2つの素材をニードルパンチの技術で繋ぐ技術も多用しており、ミリタリーコートとウール素材のコートを半分に切って真ん中をニードルパンチで繋いだコート、下半分がレザーになったチェスターコートなどを見せた。ポケットの縁やヘムを切りっぱなしにするレーザーカットの技術も多彩で、さながら技術見本市のような様相を呈している。
アイテムで目立つのはニット。牧歌的なフェアアイル柄をシャープな直線で表現したものや、フェアアイル柄が3Dのように浮き立つようになっているタートルネックセーター、ニット素材のクロンビーコートなど、様々なバリエーションで見せた。
また、ニットやライダースジャケットに描かれた星が2つ重なった印象的なグラフィックは、アメリカのアーティスト兼フォトグラファー、スーザン・バーバー(Suzanne Barber)のアート作品「Kaboon」からインスピレーションを受けたもの。カラーパレットはブラック、グレー、ホワイト、ネイビーで、その中にキーカラーのオリーブグリーンを印象的に潜ませている。
靴はイギリスのパンクとアメリカのワークを融合させたようなラギッドな編み上げブーツとモンクストラップブーツ。ブーツの紐先にはパンクスが鼻につけるピアスが付いていて、大人の遊び心を感じさせる。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)