シャネル(CHANEL)が、2014-15年メティエダールコレクションを発表した。
今回の舞台に選ばれたのはオーストリアの都市、ザルツブルク。18世紀に建てられたレオポルツクロン城で行われたショーは、オーストリアをはじめ世界各地からのゲストが出席した。キャンドルの炎が一面に揺れる大理石の暖炉、うず高くお菓子が積まれたテーブル、そして精緻な造りの椅子やソファーといった室内装飾の数々が、歴史ある建物の魅力をより一層際立たせる。
オーストリアはマドモアゼル・シャネルが滞在し、メゾンを象徴するジャケットが誕生するきっかけとなった場所。カール・ラガーフェルドは、チロル地方の伝統やオーストリアの歴史、そして滞在中のエピソードを現代的に再解釈し、コレクションで表現した。
ランウェイを飾るデイウェアの数々は、ジャケットやコートが中心。4つポケットが付いたアイボリーのツイードジャケットには、サイドラインが入ったミリタリースタイルのウールパンツを合わせたり、袖回りが特徴的なロング丈の刺繍ジャケットは、共布のドレスとコーディネートしたり……。またマキシ丈のシアリング・コートからは、チロル地方の民族衣装であるレーダーホーゼン風のデニムパンツを覗かせた。ボーイッシュで無造作なオーラを感じさせながらも、エレガントな雰囲気を漂わせている。
一方、カクテルやイブニングスタイルは限りなくフェミニンな印象に。蝶の刺繍が施されたブラウスとフェザーのミニスカート、黒のサテンリボンがあしらわれたエプロンドレス、レザーのボディス(ベスト)を合わせた民族衣装のディアンドル風ドレスなどが登場。刺繍やビジュー、愛らしいチロリアンテープといった装飾は、圧倒的な華やかさを演出する。
シャネルを象徴するカラーである白、レッド、ネイビー、黒に、アルプスを思わせる濃いグレイやフォレストグリーンといった色彩が取り入れられた。また布地においても開催地にちなんだローデンウールを採用。さらにツイード、フェルト、レザー、カシミアといった温かみのあるものから、サテン、シフォン、タフタやレースといった繊細なものまで多岐に渡る。
多彩なコスチュームジュエリーやハンドバッグ、フットウェアは、オーストリア=ハンガリー帝国から、インスパイアされたデザイン。ノットをあしらったパールのロングネックレスはコレクションの随所に見られるほか、黒いサテンのチョーカーには、楕円形のビジューがあしらわれている。またバッグは、アルプスの花々が刺繍されたフェルトのものや、キルティングのチェーンバッグが登場。シューズは、ストラップが付いたエナメルのサボ、ハイキングシューズ、そしてハンティングブーツが選ばれた。