誰もが一着はもっている、ジーンズ。いまでは、首相や大統領まで愛用している。しかしジーンズは歴史的に見ると、反逆者のシンボルであり、労働者の勲章といってよいアイテム。ジーンズの歴史はアメリカの歴史とともに展開。デニム素材自体はフランスで生まれ、イギリスで織物技術が発展し、アメリカでジーンズの原型が完成した。
ジーンズにはさまざまな側面があり、それはとても複雑なもの。反体制の象徴、自由の象徴的なイメージ、誰もが持っていて大量消費的なイメージ、「色落ち」「汚れ」に代表されるように時間ともに変化を楽しむイメージ、マニアのコミュニティの中で高額で取引される希少価値を持ったヴィンテージとしての様相もある。ハイファッションの中にもすでに取り込まれ、ファッション性の強いアイテムとしての様相もある。
ファッション界に多くの革命をもたらしたデザイナーのイヴ・サンローランが、こう言葉を残しています「ジーンズを私が世の中にだすことができなかったことが残念でならない。」
ジーンズの歴史は19世紀半ばのアメリカ西部に始まります。ゴールドラッシュに沸くアメリカで、多くの人たちが夢を追い西部に向かっていきました。そこでの重労働が丈夫で長持ちする衣服の必要性を生んだのです。だから、ジーンズとはもともとは労働者の服、労働服だったのです。この後、時代は流れ、その中でジーンズも変化していき、現在に至ることになります。
さまざまな側面をもつジーンズの歴史を振り返っていきたい。
第1章、ジーンズの誕生
~ジェイコブ・デイビスとリーバイ・ストラウスの出会い、ジーンズの原型の誕生
第2章、ジーンズとカウボーイ
~ジーンズメーカーの展開とカウボーイ
第3章、1940年代のジーンズ事情-戦争と戦後
~戦時下の物資統制と戦後のジーンズ
第4章、不良とジーンズ - マーロン・ブランドとジェームズ・ディーン
~若者たちのスターとジーンズの広がり
第5章、ジーンズのファッション化
~ファッションアイテムとなったジーンズ、ジーンズの変化
第6章、モッズやヒッピー、カウンターカルチャー×ジーンズ
~モッズ、ヒッピー、サイケ、サブカルチャー
第7章 パンクとジーンズ
~アンダーグラウンド、パンク、世界に広がるジーンズ
第8章 高級ブランドとジーンズ
~クレアマッカーデル、イヴサンローラン、デザイナーズジーンズ年表
第9章 デザイナーズジーンズの登場
~カルバンクライン、セクシーなジーンズの登場