アンベル(AMBELL)が2015年の春夏コレクションを発表した。会場内は海の中にいるかのように光が揺らめき、幻想的な音楽が大きくなったり小さくなったりして流れる。今回のインスピレーション源は海中の世界。珊瑚や海の生き物たちが環境破壊によって数が減っているという現状に警鐘を鳴らすメッセージが込められている。
海への思いは服作りにふんだんに落とし込まれている。例えば染め。トレンチコートなどに用いられた薄いピンク色は、シーウィード(海藻)から抽出した色。さらにワンピースやジャケットに印象的に使われた美しいディープブルーは、航海時代から船乗りたちが使っていた木から抽出したというのだから驚きだ。
また海の中に差し込む光をイメージしたような、“光”を意識した演出が、織りによってコレクションの細部にまで表現された。ドレスやワンピースに使われたシースルー素材は、透明なフィルムを織って作ったもの。また、チェック柄の深みのある色合いのアイテムには、ラメ入りの糸を織り込むことでキラキラと、さりげない輝きを放つ。さらにはスワロフスキーやビーズを取り付けたり、金や銀を使った光の演出がリュクスな印象も醸し出した。
その他にもボーダー柄を使ったり、海藻のような刺繍を織り込んだりと随所にマリンエッセンスは登場。海の美しさを光を使って細やかに表現したコレクションとなった。