バルムング(BALMUNG)の2025年春夏コレクションが、東京ファッションウィーク中の2024年9月4日(水)、東京・四ツ谷にて発表された。テーマは“MOVEMENT / CIRCLE”。
テーマに据えた“MOVEMENT / CIRCLE”には、カルチャーにおいて生まれる運動や流行、人々が連帯して持つ考え、時計や機構、秩序として意味を持つムーブメント、そして輪や円といった、ひとつの言葉に様々な意味が紐づくサークルとしての意味合いが込められている。今季のバルムングは、上記意味合いを含みつつ、インターネットにあるような、自分にとっては知らない世界さらには非現実である一方、誰かにとっては現実的な事柄を、コレクションを通して表現していく。
際立つのは、極端なビッグシルエット。特にMA-1のジャケットは、その短い着丈に対して肩や胸部が盛り上がる、ボリューミーなシルエットに仕上げている。表面はシアー素材で覆い、内部にはたっぷりとチュールを詰めてボリュームを引き出した。
ルックを彩るのは、ドットや迷彩、ボーダー、空や宇宙を思わせるオリジナルプリントなど多彩な柄。切り替えデザインのボーダーシャツや、迷彩柄のタイツ、ドットのぷっくりとしたシルエットのショートパンツなどが散見された。こういった複数の柄が1つのコレクション内で登場するのは初の試みとなり、その柄ひとつひとつにも様々なストーリーが込められている。
たとえば、ジャケットやシアートップスに描かれた柄は、バルムングのデザイナーHACHIの友人でありアーティストの村田実莉により描かれたもの。イルカやクラゲといった生き物、コンピューターで描いたりんごなどをメカニックでSF風のイラストに仕上げている。神秘的な生き物や禁断の果実というどこか宗教を連想させる偶像をモチーフとして採用することで、SNSに蔓延る誰かの信仰的アイデンティティや、社会の中に浸透する不思議な概念などを表現した。
カラーパレットには、ブランドが得意とする薄くて白っぽい、堅い印象を与えるライトグレー、ブラック、ホワイトをベースに、シルバーのメタリックカラー、レッドやブルーといったビビッドな色彩、目が眩むようなイエローなどの蛍光色を差し込んでいる。閃光のようにジャケットやパンツを走るラインにはイエローを採用し、観客の目線を誘導させた。