カルヴェン(CARVEN)の2015年サマープレコレクションは、ケン・ローチ(Ken Loach)監督による映画の世界観にインスパイアされている。ぼろぼろの産業構造と再生する自然の繊細さとの絶え間ない緊張が、ルーズなフーリガンスタイルと大量消費志向を取り入れながら、今季のイメージを形作る。
工業地帯の郊外で生まれた少年をテーマに展開された、カルヴェンの2015年春夏メンズコレクションとリンクしている今季。まだ肌寒い春の日、イギリスかアイルランドの郊外で、サッカーを楽しむボーイフレンドを眺める女性がイメージだ。実用的なスポーツウェアの要素に、花々のモチーフなどポエティックなディテールが加わり、厳しい状況における美を想起させる。
パレットはモノトーンをベースに、緑の大地を思わせるグリーン、鮮やかなオレンジが加わる。“CAREVN”のロゴがあしらわれたフレアワンピースは、目の覚める色合いで、チアリーダーのような快活さも。同様のロゴは、バイカラーのコートの袖やノーカラージャケットの胸元にも見られた。
清らかなスノードロップのモチーフは、立体的なラグランスリーブのワンピースや、メッシュのような袖が特徴のシャツに描かれ、装いに華を添える。またハイネックのミニドレスには、薄いピンクの花びらの様なプリントがほどこされ、シンプルなスタイルの中に優しい要素をさりげなく与えた。
アウターやジャケットは直線的なラインが多いほか、ワンピースやセットアップはタイトなシルエットが中心だ。またスカートはミニ丈、トップスはクロップド丈のものも目立ち、ヘルシーな着こなしも提案していた。