ヴィム・ヴェンダースによるドキュメンタリー映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』が、2024年6月21日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国順次公開される。
映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』は、戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と現在にせまったドキュメンタリーだ。
ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な方法で表現してきたアンゼルムは、1993年以降、フランスに拠点を移して活動。わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。作品には一貫して、戦後ドイツや死に対峙する背景が見られ、アンゼルムは“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。
劇中には、アンゼルムの多彩な表現力を感じられる作品の数々が登場。焼け焦げたひまわりの下で寝そべる自身を描いた絵画や、白いドレスを着た顔のない女性像の立体作品、アンゼルムの背丈をはるかに超え、画面には収まらないほどの大きな絵画作品、戦闘機や潜水艦を髣髴とさせる大きなインスタレーションなどを目にすることができる。
監督は、第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた映画『PERFECT DAYS』を手掛けたヴィム・ヴェンダース。ヴェンダースはこれまで劇映画だけでなく、独自の舞踊芸術を確立した舞踊家、ピナ・バウシュを映した『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』や、写真家のセバスチャン・サルガドが地球上の最も美しい場所を探し求めたプロジェクトに同行した『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』など、表現者の姿に密着したドキュメンタリー映画も製作している。
2年の歳月を費やして制作された『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』は、3Dで撮影。従来の3D映画のような飛び出す仕掛けではなく、絵画や建築を、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像で再現し、ドキュメンタリー映画において新しい可能性を追求した。
出演者はアンゼルム・キーファー本人のほか、自身の青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダースの孫甥、アントン・ヴェンダースが務めている。
映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』
公開日:2024年6月21日(金)
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:アンゼルム・キーファー、ダニエル・キーファー、アントン・ヴェンダース
原題:Anselm