アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood)は2024-25年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションをフランス・パリにて発表。
「THE TAYLOR」を掲げた今季は、ルネサンス後期の衣装からインスパイア。アンドレアス・クロンターラーがミラノで見たという、イタリアの画家ジョヴァンニ・バッティスタ・モローニの展覧会が創作の出発点となっている。
写実的な肖像画を多く手掛けたジョヴァンニ・バッティスタ・モローニの描く厳格でエレガントなアートの数々が、ヴィヴィアン・ウエストウッドとともに制作を行っていた初期の記憶を思い起こさせたという。加えて、かつてヴィヴィアンとともに参照していたジャネット・アーノルドの名著『パターンズ・オブ・ファッション(Patterns of Fashion)』における歴史的なパターンや、友人から譲り受けたスポーツ用プロテクターからもアイディアを繋げていった。
メインとなるのはルネサンス後期を思わせるクラシカルなウェア。バルーンスリーブのブラウスや、ジョッパーズパンツ、スタンドカラーのロングコート、コルセットを配したドレスなどが登場している。
特徴的なのは、切り刻むようにカットを施したピース。丸みを帯びたスカートは切り込みによってフォルムに躍動が生まれ、生地をふんだんに使ったブラックのドレスは切れ目から肌が見えることでセンシュアルなエッセンスをプラスしている。
真っ白なガウンコートやパワーショルダーのブラックドレスなど、生地を贅沢に用いた流れるようなシルエットのアイテムが散見された。また、ドレープも多用されており、エレガントさをプラス。一連のパーツが流れるような曲線を描くフード付きブラウスをはじめ、パンキッシュなチェック柄セットアップのサルエルパンツ、テール付きのシャツジャケットなど、随所に緩やかなカーブが落とし込まれている。
歴史上の衣装をベースとしつつ、アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッドらしいフェティッシュな要素も随所に見て取れる。サイドや背中が大胆に開いたドレスや急な角度をつけた厚底ブーツなど、劇的なディテールを加えたアイテムが揃う。股の部分を覆う1600年代のコッドピースもフェティッシュな要素として機能し、ブラウスやストライプ柄のパンツなどに重ねてボディラインを強調。太ももまでダイナミックに覆うサイハイブーツも目を引いた。