アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)の2024-25年秋冬コレクションを紹介。
クリエイティブ・ディレクターであるステファノ・ガリーチにとって、2回目のランウェイショーとなる今季。創業者のアン・ドゥムルメステールによるアーカイブを基に、自分自身の殻を破り、これまでとは異なるアイデアを発見しながらコレクションを完成させた。同時にそれは、アンが築いたアイデンティティに、ステファノの生き方を投影することで、一種の新しさを生み出したともいえる。
最も象徴的なのは、ボリュームのあるグレートコート。ハリ感のあるラムレザーを贅沢に用い、ショルダー部分のファーを大胆に組み合わせたルックが散見された。また得意とするテーラーリングも、今季は身体をすっぽり包み込むオーバーサイズで登場しているのが印象的だ。
ネグリジェに着想した、リラックスしたシルエットも今季ならでは。光沢感のあるブラックのロングドレスは、体躯に沿ってゆるやかに流れるラインを描き出している。“まるでルームウェア”のようなサテン生地のキャミソールやショートパンツも披露された。
斬新なディテールも見逃せない。ホワイトのニットには不規則に穴を開けたり、プリーツ加工を施したカーキのスカートには異素材をドッキングしたり…と、挑戦的なディテールが組み込まれたルックを展開していた。
カラーパレットは、ブラックをメインに採用。上質なラムレザーやベロアといった様々な生地を用い、同じブラックでも多彩な表情を演出している。さらにオフホワイトや、ミリタリー調のカーキや深いボルドー、柔らかいピンクなどを差し込み、コレクション全体にアクセントを加えた。