カルヴェン(CARVEN)の2014-15年春夏メンズコレクションが、パリ・ファッション・ウィークで発表された。
今シーズンのテーマは、「無機質な都会空間で育った少年の雄大な自然との出会い」。ケン・ローチ(Ken Loach)の映画の世界観の中、廃れきった産業構造と再生する自然の繊細さとの絶え間ない緊張を一つのスタイルに落とし込むことでよりリアルに表現する。
それぞれのアイテムは、大量消費的志向とそれに強く対向するルーズなフリーガンスタイルの二軸を巧に表現する。スノードロップの刺繍のパッチワークはアスリートのスポーツウェアに付けるスポンサーロゴの雰囲気を感じさせる。
また、自然を表現するポイントとして今季のトレンドでもある「花模様」も登場する。ブラックのボンバージャケットにホワイトで刺繍された花弁からは、自然に馴染みきれない都会の少年の物寂しげさを感じる。
カラーパレットは、植物などが持つの自然界ならではのカラーと、産業的で都会の喧噪を思わせるようなビビッドカラーの融合。カーキのような大地を感じさせるトーンが、人工的な鮮やかなグリーンに重なり、独特の緊迫感とフォーマルさを生む。
スタイリングはフレームワークに囚われることなく、様々なアイテムを重ね合わせることで「人工」と「自然」の両要素を引き出し、見る者までをも楽しませる。テイラードスーツとデニムジャケットやマルチポケットのパーカの組み合わせや、スリムシルエットのパンツの裾にトラックスーツを思わせるようなゴムバンドでアクセントを足すなど、その工夫はディテールにまで及ぶ。