企画展「未完の始まり:未来のヴンダーカンマー」が、愛知の豊田市美術館にて、2024年1月20日(土)から5月6日(月・振)まで開催される。
企画展「未完の始まり:未来のヴンダーカンマー」は、2024年4月、豊田市美術館の隣に生まれる総合博物館「豊田市博物館」の開館に向けて開催される展覧会だ。ガブリエル・リコやヤン・ヴォーをはじめ、歴史や文化、記憶などに着目する5人の現代作家を取り上げ、ミュージアムの可能性を探ってゆく。
ミュージアムの原型は、15〜18世紀ヨーロッパの王侯貴族の邸宅に設られた「ヴンダーカンマー(驚異の部屋)」にあるとされる。そこには、絵画や彫刻ばかりでなく、動物の剥製、植物標本、地図、天球儀、そして東洋の陶磁器など、世界中のさまざまな珍しいものが集められた。しかし、大航海時代の幕開けとともに生まれたヴンダーカンマーは、集める側と集められる側の不均衡や、異文化への好奇な視線をも孕んでいた。
その後、18世紀の啓蒙時代に入ると、美術品や博物資料などの公開は社会の進歩に貢献するという考えのもと、美術館や博物館が設立されることに。そして現在では、植民地時代に収奪された遺物の返還や、白人男性を中心とする従来の美術史の再検討が進み、欧米を中心に形作られてきたミュージアムの枠組みが見直されつつある。
ミュージアムと社会の関係や、展示における政治性を再考する本展では、歴史や資料に光をあてて、事物の編み直しを試みる5人の作家を紹介。現在の人間と神話、自然環境との新たな関係を探るガブリエル・リコや、幼少時に家族とともにベトナムから逃れ、デンマークで育った経験を作品に反映してきたヤン・ヴォーに加えて、リウ・チュアン、タウス・マハチェヴァ、田村友一郎らが出品する。
かつて、「博物館行き」とは物の終わりを意味していたものの、事物の意味はそれ自体に内包されるのではなく、人間によって作られるものだといえる。実際、近年の現代美術では、ある事物を異なる文脈に置き直したり、まったく異なるものと組み合わせたりすることで、新たな意味が生みだされている。本展では、このような視点から、事物を過去の中に閉じ込めるのではなく、そこに新たな姿や意味を見出すことを試みてゆく。
企画展「未完の始まり:未来のヴンダーカンマー」
会期:2024年1月20日(土)〜5月6日(月・振)
会場:豊田市美術館 展示室1・8
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
開館時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)
休館日:月曜日(2月12日(月・振)、4月29日(月・祝)、5月6日(月・振)は開館)
観覧料:一般 1,500円(1,300円)、高校・大学生 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は前売券および20名以上の団体料金
※オンラインチケットは100円割引(他割引との併用不可)
※前売券は、豊田市美術館ミュージアムショップ(12月24日(日)まで)、オンラインチケット(アソビュー!)ほかにて販売
※障がい者手帳の所持者および介添者1名、豊田市内在住または在学の高校生、豊田市内在住の18歳以下(満18歳から最初の3月31日まで)、豊田市内在住の満70歳以上などは観覧料無料(要証明)
■出品作家
リゥ・チュアン、タウス・マハチェヴァ、ガブリエル・リコ、田村友一郎、ヤン・ヴォー
【問い合わせ先】
豊田市美術館
TEL:0565-34-6610