企画展「邨田丹陵 時代を描いたやまと絵師」が、東京・立川のたましん美術館にて、2024年1月13日(土)から3月31日(日)まで開催される。

邨田丹陵、初の本格的な展覧会

邨田丹陵(むらた たんりょう)は、代表作《大政奉還》などを手がけた、立川ゆかりの日本画家だ。明治4年(1872年)に生まれた丹陵は、武者絵の大家・川辺御楯(かわべ みたて)に弟子入りし、10代の頃から展覧会に歴史画を出品して受賞を重ねるなど、若くして頭角を現している。

しかし、大正12年(1923年)に関東大震災の被害を受けると、東京府下の北多摩郡砂川村(現・東京都立川市砂川町)へと転居。また、展覧会への出品も、明治40年(1907年)を最後に、その後行った記録がない。こうして、中央画壇から距離をおき、自らの気の赴くがままに筆をとることになった丹陵の画業や生涯は、長らく光をあてられることがなかった。

初期から晩年にいたる作品が一堂に

企画展「邨田丹陵 時代を描いたやまと絵師」は、丹陵に焦点を合わせた、初の本格的な展覧会。東京・聖徳記念絵画館の壁画《大政奉還》の下絵にあたる作品をはじめ、最後の展覧会出品作《大宮人》、縦3mを超える大幅《霊峰富嶽図》など、初期から晩年にいたる作品を一堂に集め、丹陵の全貌を紹介する。

近代日本画と歴史画

丹陵は、師である御楯の後継者として、生涯にわたって歴史画を手がけ続けた。その作品は、伝統的なやまと絵に、近代的な表現が取り入れたものだ。実際、丹陵は、保守的な日本美術協会の審査に不満を覚え、若手画家を率いて日本青年絵画協会を結成するなど、近代日本画の新しい側面を切り拓くことを試みたのだった。

本展では、伝統と革新がせめぎ合う丹陵の作品を紹介。また、明治時代以降、日本の伝統的な絵画と西洋絵画の接触を背景に「日本画」という概念が生まれるなか、日本古来の史実を題材とした歴史画が果たした役割についても考察する。

展覧会概要

企画展「邨田丹陵 時代を描いたやまと絵師」
会期：2024年1月13日(土)～3月31日(日) 前期・後期で作品を総入れ替え
［前期 1月13日(土)～2月18日(日) / 後期 2月24日(土)～3月31日(日)］
会場：たましん美術館
住所：東京都立川市緑町3-4 多摩信用金庫本店 1F
開館時間：10:00～18:00(入館は17:30まで)
休館日：月曜日(2月12日(月・振)は開館)、2月13日(火)、2月19日(月)〜23日(金)
入館料：一般 500円、高校・大学生 300円
※中学生以下、障がい者手帳の所持者および付添者などは無料

【問い合わせ先】
たましん美術館
TEL：042-526-7788