リミ フゥ(LIMI feu)の2014-15年秋冬コレクションが、2014年5月30日(金)の夜、東京・恵比寿のホールで披露された。会場には4箇所のテントが設置され、そこからセンターのステージにかけて、かわるがわるモデルが歩く演出だ。音楽はアコーディオン奏者の桑山哲也とアコースティックギター奏者イルビンコージによる生演奏。
「ここ最近特に、女性の曲線美を重要視している」と語る、デザイナーの山本里美。ショーは、70年代の映画『愛の嵐』を思わせるようなガーターベルトに美しいドルマンスリーブのブラウス、そして大きめのフェルト帽のファーストルックから始まった。
大半がホワイト&ブラックのコレクション。中盤にグレイッシュなベージュやパンキッシュなレッド、グレーも差し込まれた。ポンチョとピーコート、もしくはケープとジャケットをドッキングさせたようなユニークなアウターが特に印象的。終盤には、まるでメンズのジャケット1枚だけを着たように見える官能的なミニドレスも。「私が理想としているピナ・バウシュとかパティスミスとか、彼女たちはメンズのジャケットを着ていて、すごく彼女たちに憧れて、憧れて……。メンズボディで洋服をつくって、女性のラインに変えてという方法で、5年前からやっています」と語る様に、デザイナー自身の憧れの女性像をルックとして表現したものだ。
「リミ フゥは基本的に、年齢を問わず、ジャンルを問わず、全ての女性に向けて女性が作るブランドというのをテーマにしています。(コレクションを通して)痩せている=美しいという概念を取り外したいと思っています。ふくよかなくらいが女性は綺麗なんだよという事を。今回もそうなんですが次のコレクションに向けて、特に日本人女性が持っている『痩せていれば綺麗』だという概念を取っ払いたい」というデザイナーのメッセージはモデルのキャスティングからも伝わってくる。
今回のショーでステージに現れたのは、通常のランウェイモデルだけでなく、妊婦やスモールサイズのモデルと多様な面々。歌手でドラマーのシシド・カフカも登場した。また来場客として、デザイナーの父である山本耀司をはじめ、デザイナーと親交のあるシンガーのAIや清春といったアーティストなどが、ブランドとしては2年ぶり、東京では4年ぶりとなるショーに駆けつけ、開催を喜んだ。