バルマン(BALMAIN)の2024年春夏ウィメンズコレクションを紹介。
2024年春夏シーズンのバルマンは、ピエール・バルマンが生涯愛し続けた「バラの花」を通して、メゾンのレガシーへのリスペクトを表し、喜びや愛、美しさを讃える。クリエーションにあたり、デザイナーのオリヴィエ・ルスタンは、1940年代後半から1950年代初頭にかけてのクチュールデザインとスケッチをリサーチ。ピエール・バルマンの建築的なフォルムとテーラリングの技術を取り入れつつ、研ぎ澄まされたカッティングと、クリノリンを使った柔らかな曲線を組み合わせて存在感あふれる佇まいを描き出した。
多彩な方法や素材で表現されたバラの花が、生き生きとコレクションを彩っている。中心に集められた布地によって1輪の可憐なバラを表現したドレスや、鮮やかなプリントでコートに散りばめられたバラの花、ブルーのドレスにきらびやかなビーズ刺繍の花を咲かせるバラなど、様々な表情のバラに出会うことができる。鮮烈なレッドやブラック1色のプリントで写し出されたローズモチーフは、力強さやほのかな毒々しさをも感じさせた。
特に目を引くのは立体的に形作られたバラ。パテントレザーやラバー、ラテックスといった光沢感のある素材、もしくは磁器、リサイクルされたプラスチックボトルなどを用いて、堂々と美しい花を咲かせるバラがウェアを装飾している。
真っ赤なバラに覆いつくされたコートや、風になびく花々を思わせる、ダイナミックなフォルムのメタリックビスチェ、赤・白・黄色・ピンクのバラがエネルギッシュに彩るミニドレスなど、色々な視点からバラの美しさをとらえたピースが披露された。ブーケのようなレザーバッグや花びらに覆われたヒールなど、小物にも繊細かつ大胆にバラの表現が加えられている。
バルマンのシグネチャー・モチーフである水玉模様「プチポワ」も、印象的に用いられている。細かくプリーツを寄せ、しなやかな素材で仕立てたフレアスカートは、布地の流れと折り目によって模様に動きが生まれ、軽快な佇まいに。大きなバラの花の装飾をあしらい彫刻的に仕上げたミニドレスは、ブラックとグリーンの落ち着いた配色により、パワフルなシルエットながらもシックな雰囲気を漂わせている。
また、構築的なフォルムが、コレクションにシャープさをもたらしていた。ウエストをシェイプし、クリノリンによって緩急をつけたミニドレスや、肩パッドで鋭い角度をつけたジャケットが多数登場している。黒と白のコントラストを効かせたセットアップは、ジャケットの合わせが描くカーブとスカートのボタンの曲線的な配置が連動しており、上下で一体感のあるシルエットに。複雑な骨組みによって構築された網目状のローズドレスは、オブジェのような佇まいを見せていた。