埼玉県立近代美術館では、展覧会「アーティスト・プロジェクト#2.07 永井天陽 遠回りの近景」を、2023年10月14日(土)から2024年1月28日(日)まで開催する。
1991年埼玉に生まれた永井天陽(ながい そらや)は、人が無意識のうちに抱く感覚や認識への問いかけのもと、彫刻を制作してきたアーティストだ。アクリル材や既製品など、異なる素材を重ね合わせたその作品では、外側と内側の境界で輪郭の関係が揺らぎ、日常的なものが姿を変えることになる。
たとえば「metaraction」シリーズは、既製品から型をとって透明なアクリルに置き換え、その中に別の既製品を詰め込んだもの。外側が招き猫、内側がうさぎのぬいぐるみという《metaraction #31 P-1》では、外側と内側で目の部分などを重ね、鑑賞者の視線の先を不確かなものにするなど、単に「招き猫の中にうさぎのぬいぐるみがある」ことにはとどまらない「違和感」を生みだしている。
展覧会「アーティスト・プロジェクト#2.07 永井天陽 遠回りの近景」では、「metaraction」シリーズの新作を中心に、さまざまな素材や工業的な技術を用いた作品を交えつつ紹介。また、展示室ばかりでなく、センターホールでもインスタレーションを発表する。
黒川紀章が設計を手がけた埼玉県立近代美術館の建築は、外側と内側が交差するかのような空間を特徴としている。内外の境界が互いに重なる永井の作品に加えて、会場となる美術館の空間との呼応も楽しみたい。
展覧会「アーティスト・プロジェクト#2.07 永井天陽 遠回りの近景」
会期:2023年10月14日(土)〜2024年1月28日(日)
会場:埼玉県立近代美術館 2階展示室D、センターホール ほか
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
開館時間:10:00〜17:30
休館日:月曜日(1月8日(月・祝)は開館)、12月25日(月)〜1月3日(水)
観覧料:無料
【問い合わせ先】
埼玉県立近代美術館
TEL:048-824-0111