シュープ(SHOOP)の2024年春夏コレクションが、2023年8月31日(木)、東京の国立競技場で発表された。
2023年、スペインのマドリードから東京へと拠点を移したシュープ。そんな転換点となる今季は、デザイナーの大木葉平とミリアン・サンス(Miriam Sanz)が感じ取る“東京”のイメージをコレクションに反映。テーラリングやストリート、スポーティ、ワークなどのウェアを、シュープならではのミニマルな佇まいにまとめた。
今季のコレクションを特徴付けるのは、ミニマルでありつつもリラクシングな佇まい。たとえばテーラリングでは、ピンストライプのノッチドラペルジャケットとスラックスというクラシカルなセットアップでありながらも、ジャケットは身幅にゆとりを持たせたボクシーなシルエット。スラックスもワイドに設定し、テーラリングというクラシカルなアイテムに、抜け感のある佇まいをもたらしている。
ミニマルなルックのなかに、軽やかな印象をプラスしているもひとつのポイント。セットアップばかりでなく、ジャケットやコートなど、ともすれば窮屈な印象を与えてしまうウェアも、ランウェイ上で自然に揺れ動くようなリラックスした仕上がりとなっているのは、軽快な素材感のゆえだ。また、プルオーバーなどにも、スリーブに適度なボリュームを持たせている。
カラーパレットも、デザイナーが東京のイメージとして挙げるブラック、グレーやベージュを中心に構成されている。これは、リラクシングでありつつもミニマルな表情にまとめるというコレクション全体の発想と通底している。そして、そうしたなかで、セットアップに用いたネオングリーンなどが、鮮やかな印象をもたらしている。
しかし、ただミニマルにまとめるだけではない。テーラリングやコートには、ボタンの代わりにアイレットを採用。ヨークを施したワークブルゾンやベストなどには、過剰なまでにメタルホックをプラス。デニムパンツのポケットは、破れてポケットとして用をなさない。エルボーパッチも、肝心な肘の部分のファブリックは丸くくり抜かれる。機能的であるはずのディテールは、このように執拗に手を加えられ、誇張されることで、その機能性が逆説的に「空虚」として示されているように思われる。
ミニマルななかに特徴的なディテールを忍ばせることにはとどまらず、デザイン性の強いアイテムも見受けられる。花柄を大きくあしらったプルオーバーやパンツ、袖口や裾の編みが断続的に粗くなったニットなど、インパクトの強いデザインも随所に取り入れた。