東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)では、開館1周年記念特別展「二つの頂─宋磁と清朝官窯─」を、2023年10月7日(土)から12月17日(日)まで開催する。
高度な陶芸技術のもとに展開した中国陶磁の歴史上、ふたつの頂点をなすのが、中国陶磁史上の古典というべき宋代の陶磁器と、清朝の宮廷で用いられた官窯磁器だ。特別展「二つの頂─宋磁と清朝官窯─」では、静嘉堂の所蔵品から、宋磁と清朝官窯磁器を精選して紹介する。
中国の宋時代には、さまざまな産業、技術、市場経済や物流の発展を背景に、窯業技術も発展し、各地に数多くの陶磁器の生産地が現れた。こうしたなかで作られた陶磁器のうち、美術的に優れた作品は「宋磁」と称されており、中国陶磁史上の古典ともいうべき作品が生まれている。本展では、華北随一の白磁の名窯・定窯の《白磁刻花蓮花文輪花鉢》や、茶葉の生産地にも近い福建省の建窯による《油滴天目》(ともに重要文化財)など、国宝1点、重要文化財3点を含む宋磁の名品を目にすることができる。
清朝の時代には、中国最大の磁器産地である景徳鎮に政府直営の「官窯」が復興され、宮廷で用いる磁器の生産が始まった。ここでは、過去の名陶の詳細な研究に基づいて精巧な「写し」を作るばかりでなく、清時代に開発された釉薬の技術や創意を駆使することで、多彩な絵具を用いた細密な絵付けなど、新たなデザインの作品を生みだしたのだった。会場では、陶芸技術の極致を示す逸品《青花臙脂紅龍鳳文瓶》(重要美術品)や、古代青銅器の壺の形に倣った《茶葉末双耳壺》など、清朝官窯磁器の数々を展示する。
さらに、中国陶磁の至宝とされる曜変天目にも着目。神秘的な輝きが現れた曜変天目のうち、完全な形で現存する3点はいずれも日本にあり、国宝に指定されている。本展では、もっとも華やかな光彩を示すとされる静嘉堂所蔵の《曜変天目(稲葉天目)》を、天目台(尼崎台)や収納箱といった付属品とともに一挙公開する。
開館1周年記念特別展「二つの頂─宋磁と清朝官窯─」
会期:2023年10月7日(土)〜12月17日(日) 会期中に一部展示替えあり
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1明治生命館 1F
開館時間:10:00〜17:00(金曜日は18:00まで)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(10月9日(月・祝)は開館)、10月10日(火)
入館料;一般 1,500円、高校。大学生 1,000円、中学生以下 無料
【問い合わせ先】
TEL:TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)