アートギャラリー「集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー」が、2023年11月24日(金)、東京の虎ノ門・麻布台に開業する「麻布台ヒルズ」内にオープンする。
「集英社マンガアートヘリテージ」は、“マンガを受け継がれていくべきアートに”というビジョンのもと、2021年3月にスタートしたプロジェクト。紙の原画を整理し、保存、運用すべく、最良のマテリアルと印刷技術を使い、漫画家と版元が監修し制作した「マンガアート」を展示・販売するアートギャラリーとして、オンライン上のみで展開されてきた。
今回、麻布台ヒルズ内にオープンする「集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー」は、常設ギャラリーとして初めてのリアル店舗となる。会場では、尾田栄一郎による『ONE PIECE』や久保帯人による『BLEACH』といった作品のアートが展示される。
オープンを記念して、会場では『ONE PIECE』と『BLEACH』にフォーカスした2つの作品を展示。まず、“マンガの始まり”をテーマに、復活の名を冠した「ONE PIECE / リジェネシス(Regenesis)」を紹介する。
マンガ展などでよく見られる原稿は、作家が描いた絵に写植(写真植字)の印画紙が貼り込まれたもの。イメージしやすいのは、ふきだし部分に文字が貼られている原画などだ。しかし、今日の写植という手法が一般化する前、戦後から1970年頃にかけては、マンガの絵の部分を金属板(亜鉛版)に腐食製版し、ふきだし部分を糸ノコでくり抜いて、そこに活字を埋め込むという手法が取られていた。
「ONE PIECE / リジェネシス」では、金属版に活字を埋め込んだ版でプリントした作品が中心となる。展示にあたり、東京・新宿の嘉瑞工房の協力により金属版と活字によるマンガの印刷を再現するべく、『ONE PIECE』第1話のある1ページをピックアップ。赤髪のシャンクスが船出の際、ルフィに麦わら帽子を預けるシーンのアートプリントを、金属版を撮影した写真と共に展示、販売する。
一方、『BLEACH』に着目した作品の展示「BLEACH / ミレニアム(The Millennium)」では、“千年先”にマンガを伝えるにはどうすればよいのかという問題を提起。“ミレニアム”は千年という意味を持ち、『BLEACH』最後の物語を描いた「千年血戦篇」になぞらえている。
本作品は、正倉院にも保存され、実在する最古の紙といわれる美濃(岐阜)の紙を用いて、100年以上色が保たれることが唯一実証されているといわれる“コロタイプ印刷”を施しているのが特徴。18回も印刷機の中を通し、深い黒を表現した。
作家・久保帯人のサインと押印を施した本作品は、桐箱におさめられ、ギャラリー内の茶室「阿庵(A-an)」に展示される。
なおギャラリー内は、印刷機のなかを紙が通る様子をイメージし、曲面を多用した空間に。掛軸作品などを展示するための3畳の茶室・「阿庵」と、購入する作品を選ぶラウンジで構成される。