タナカダイスケ(tanakadaisuke) 2023-24年秋冬コレクションが、京都劇場にて発表された。
“ストロベリームーン”と呼ばれる、6月の満月の前夜に開催されたタナカダイスケの2023-24年秋冬コレクション。前日の荒れ狂う嵐はまるで嘘だったかのように、澄み切った京都の夜空にも、(ほぼパーフェクトな)まん丸の月が浮かび上がっている。
そんな月夜の物語を描くかのように、今季のショーは、"Behind the MOON"をテーマにした幻想的なショーを京都劇場の舞台で演出。儚くも美しい、そしてちょっぴりダークなムードを、ブランドらしい繊細なタッチで表現しているのが特徴だ。
月明りを模した、ほの暗い照明に浮かぶのは、まるで天女のベールのようなドレスや、煌めく宇宙服のようなピース。やわらかな月光と、不安を誘う闇の両極を描くかのように、カラーパレットはシンプルなホワイトやブラックを基調にした、シックなムードに仕上げているのが今季のムードだ。
ブランドらしいエッセンスを加えるのは、繊細な輝きを放つ宝飾品。本来華やかな要素であるものの、白やクリアで統一したことで、月光のようにどこか儚げな表情が印象的。それはまるで、ひとたび雲が覆えば闇夜と化してしまうこの空間で、“誰かに見つけてほしい”と、一筋の願いを込めているようにも感じられる。
一方で、月夜によって可視化される大胆なカットワークも登場した。その好例となるのは、一見端正なシルエットが際立つ、ブラックのテーラードスタイル。スリムなジャケットは、バックスタイル全体を大きく繰り抜き、背中が露わになるドラマティックな表情に。またフロントのサイドまで、鋭いカッティングを加えることで、エッジィなムードもプラスしている。
人気のアクセサリーは、今季ならではの“月”のモチーフに。まるでお守りのように、胸元に隠れている満月のペンダントや、華奢なチェーンを組み合わせた満月型のポシェットが、ランウェイに登場した。