2014年3月15日(土)、ノゾミイシグロ オートクチュール((NOZOMI ISHIGURO HAUTE COUTURE)の2014-15年秋冬コレクションが発表された。暗闇の中に設けられた大きなステージ、そこに浮かぶ2台のドラムセット。その舞台ににひとり表れたのは、バイオリニストの太田恵資。彼によるホーミーとバイオリンの音色に合わせ、ショーはスタートした。
ファーストルックは、ラメの入ったブラックとレオパード柄をセパレートで表現したドレスに、レインブーツを彷彿とさせるようなロングブーツ、ゆとりのあるジャケットを合わせたスタイル。その後も、背中までジップが伸びたライダースなどユニークなアイテムを用いた、退廃的できらびやかなブラックスタイルが続く。
そこに巨大バンド・オーケストラ「渋さ知らズ」のメンバーが続々と登場し、ジャジーな音色を奏で始めると、ピンクで彩られたエッジィなスタイルが現れる。フード付きのブルゾンは、タイトなアームとショート丈でシャープに。オーガンザを用いたドレスやドレープのついたブルゾンは、ところどころが絞られ、まるで大きなリボンが溶け込んでいるかのようなデザイン。ボタンもハートマークにかたどるなど、キュートなモチーフで、アヴァンギャルドな表現を試みた。
ショーも中盤に差し掛かると、ムードが一変。トランペットやサックス奏者が表れ、会場はお祭りさながらのアップテンポな音楽に包まれてゆく。そんな中目立ったのが、タータンチェックやグラフチェック、マドラスチェックなど豊富なパターンのチェックを組み合わせたアイテム。そしてチェックの中には、時間を追うごとにドットやカモフラージュが紛れ込み、カオティックなほどの柄合わせへと変化して行った。
最終的には、ボーカルやおしろいのダンサーなど、「渋さ知らズ」おなじみのユニークなパフォーマーがステージ上に入り乱れ、ショーは大きな盛り上がりをみせた。一方で、登場したアイテムを振り返ってみると、服という概念を壊そうとするかのような、ノゾミらしい反骨精神にあふれるものばかりだった。「着る」とは何か。とびきりファンクな演出の中で、その根本的な疑問を投げかけたショーは、大きな拍手の中幕を閉じた。