世界的に注目を集める多くのデザイナーを輩出するベルギーのアントワープ王立芸術アカデミー。卒業生はマルタン・マルジェラ、クリス・ヴァン・アッシュ、ドリス・ヴァン・ノッテン、日本で活躍する坂部三樹郎(ミキオ サカベ)、福薗英貴(ウェアラバウツ)、堀内太郎(タロウ ホリウチ)などが名を連ねる。
そんな名門アントワープ王立芸術アカデミーのファッション学部、アニュアル・ショーが2010年6月10日から12日の間に開催された。今回はその様子をご紹介。
同ショーは3日間を通じて一般公開され、地元アントワープの住民から内外のメディアまで、毎年合計6千人もの観客が訪れる。今年はロンドンの人気ファッションブログStyle Bubbleのスージー(Susie)、パリのファッション・ジャーナリスト ダイアン・ペルネ(Diane Pernet)など、ヨーロッパ・ファッション界のVIPも多数姿を見せた。
同校のファッション・ショーは卒業年次の生徒だけでなく、1年生から作品を発表する点が特徴的。そのためショーは各日合計4時間にもなるが、約160人の生徒が1年間の成果として発表する作品はどれもフレッシュで力強く、会場は終始興奮に包まれていた。
左) Wali Barrech 右) Marie Cramer
その中で、今年卒業予定のIZUMI HONGO(本郷いづみさん)、TOMOHIRO TOKITA(時田智弘さん)をはじめ、多くの日本人の生徒もクオリティの高い作品で会場を沸かせた。
左) IZUMI HONGO 右) TOMOHIRO TOKITA
初日10日にはショー会場内の別スペースで、同校出身のデザイン・デュオであるA.F.ヴァンデヴォーストのデザインによる、MARIE JO L'AVENTUREのランジェリーコレクションのプレゼンテーションも行われ、年に一度のビッグイベントに華を添えた。
また、最終日12日の午後には、優秀作品を対象とした各賞授賞パーティーがアントワープ市内で開催され、同校教授でデザイナーのウォルター・ヴァン・ベイレンドンクから受賞者が発表された。その中でも3年生のTERUMASA NAKAJIMA(中島輝道さん)は2つの賞を同時受賞するなど、来年以降の活躍が期待される。
パーティーはすでに二度のショーを無事に終えていたこともあり、生徒達も終始リラックスした様子で、同校のアットホームな雰囲気の一端を感じ取れた。この雰囲気こそが「アントワープの6人」のように、時代を牽引するデザイナー達を長期にわたって育て続けているかもしれない。若き才能達のこれからに期待したい。