特別展「海 ─生命のみなもと─」が、東京・上野の国立科学博物館にて、2023年7月15日(土)から10月9日(月・祝)まで開催される。その後、名古屋市科学館に巡回する。
水惑星とも呼ばれる地球を象徴する「海」。さまざまな物質やエネルギーを運び、生態系を育んできた海は、地球上の生命の源泉であるといえる。また、人類は、海の恵みを享受するばかりでなく、海の厳しさを乗り越えることで繁栄してきたものの、現代においては人間活動に伴う環境への影響が海にも顕在化している。
特別展「海 ─生命のみなもと─」は、「海」の誕生から現在までに着目し、多様な生物や人との関わりに光をあてる展覧会。海の誕生と生命の起源から、生態系との繋がり、そして人類が海に与えている影響まで、さまざまな視点から「海」について考えてゆく。
地球になぜ海が存在するのかを理解するためには、地球における水の起源を明らかにする必要がある。これについては現在、地球近傍にある小惑星「リュウグウ」から得られた試料の分析を通して、多くの新知見が得られつつある。本展の序盤では、最新の研究成果を踏まえつつ、始原的隕石から太陽系惑星に至る水の起源、地球史における海の誕生と進化、そしてそこで育まれた初期生命の生態系について紹介する。
日本列島周辺の海は、現在の地球の海を特徴付ける要素をほぼすべて備えているとされる。これは、プレートの沈み込みによる海溝沿いの超深海や、活発な火山列島といった沿岸域など、多様な地形から構成されているためだ。また、日本列島に沿って流れる世界最大規模の海流・黒潮は、日本周辺の気候に影響を及ぼし、海ばかりでなく陸上を含め、多様な生物を育んでいる。
会場では、プレート運動や火山活動といった地学現象、黒潮を含む海流が生みだす大規模な海洋循環が、生物の分布や多様性にもたらす影響を紹介。ナミマツカサやハナミノカサゴ、エゾメバル、マダラなど、多数の剥製や標本とともに、日本の海の豊かな生態系に光をあてる。
さらに本展では、水産資源の利用にとどまらない「海の恵み」について、人類史を通じて紹介するほか、水産資源の枯渇、海洋酸性化、貧酸素化、あるいは海洋プラスチック汚染など、海において顕在化している、人間活動に伴う環境変化も取り上げる。
特別展「海 ─生命のみなもと─」
会期:2023年7月15日(土)〜10月9日(月・祝)
会場:国立科学博物館
住所:東京都台東区上野公園7-20
開館時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:9月4日(月)・11日(月)・19日(火)・25日(月)
※内容は変更となる場合あり
※入場料や入場方法などについては追って公式サイトにて告知
■巡回情報
・名古屋展
会期:2024年春
会場:名古屋市科学館(愛知県名古屋市中区栄2-17-1 芸術と科学の杜・白川公園内)
【東京展にかんする問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)