ジュン アシダ(jun ashida)の2023-24年秋冬コレクションが、2023年4月7日(金)、東京・六本木のグランド ハイアット 東京にて発表された。
日本のプレタポルテの草分け的存在として知られ、1963年のメゾン創立以来、常にクオリティの高い服作りの姿勢を貫いてきたジュン アシダ。メゾン創立60周年という節目を迎える今季も、洋服を纏う女性の美しさをより際立たせるような、エレガントなウェアが披露された。
今季のコレクションを象徴するのは、ラグジュアリーな煌めきを湛えたピースだ。ラメ糸を編み込んだタートルニットやメタリックな艶を放つパンツは、秋冬らしいマットな質感のウールコートやツイードジャケットとコントラストをなし、優雅なリズムをもたらしてゆく。暖色を基調としたワントーンのカラーリングの中で、濡れたような光沢が抜け感を演出していた。
マニッシュなアイテムは、曲線的なラインで女性らしさのバランスを保っているのが印象的。たとえば真っ赤なジャケットは、裾に向かって広がるAラインのシルエットに。パンツは緩いカーブを描くテーパードを採用し、中に組み合わせたブラウスには、薔薇の花びらを思わせる装飾的なフリルのディテールを配している。
ショーの後半へ入ると、シャツやパンツといった日常着的なウェアは影を潜め、生地はきらめきを増し、コレクションはよりラグジュアリーな雰囲気に。繊細なレースを配したワンピースや、風になびくシアーなヴェールを纏ったサテンのイブニングドレスなどが登場した。中でも目を引いたのは、細かなプリーツが波打つ緩やかなロングドレス。歩みに合わせてまばゆいほどに輝くゴールドは、陽ざしを反射してゆらめく水面を彷彿とさせる美しさだ。
ショーのフィナーレを飾ったのは、半分をラメが輝くゴールド、半分をマットなブラックで彩ったドレス。身体を引き立てる優美なシルエットを基調としつつも、斜めに入れたスリットや、ウエストに配した幾何学的な形のベルトなど、随所にアシンメトリックな要素を差し込んで変化をもたらしているのが面白い。