ヨーク(YOKE)の2023年秋冬コレクションが、2023年3月15日(水)、東京国際フォーラムにて発表された。
今季のヨークのインスピレーション源となったのは、20世紀で最も影響力があると言われているイギリスの抽象画家、ベン・ニコルソンによる作品。ベンは徹底して幾何学的な模様や、白く淡い色の作品を生み出し続け、イギリスの抽象芸術を牽引しただけでなく、ヨーロッパにおいても現代美術の発展に大きく貢献した。
そんなベンの作品から、デザイナーの寺田典夫は、「重ねる」「陰影」「線」「幾何学」「カラーブロッキング」の5つのキーワードを連想。それぞれのキーワードを表現したルックを提案する。
印象的なのは、シンプルな線や幾何学的な模様の重なりだ。コートやセットアップなどの衣服の上に、シンプルな線や図形を配置した。いずれも作品から着想を得た境界線を持たない淡い色合いと、アクセントとなるレッドやブルーなどのカラーを差し込むことで幾何学的な模様を際立たせている。
トレンチコートやダッフルコートに施された布の重なりも目を惹く。複数重ねた布地が、モデルの歩みに合わせて軽やかに揺れ動いている。また、ウォッシュドデニムのジャケットは、複数のジャケットを重ねて転写させることで独特な模様を作り出した。
目を凝らせば見えてくる「陰影」は、布に立体感を持たせるボンディング加工により生じさせた。ロングコートにあしらわれ、静かに、だがはっきりとその影を落としている。
ダウンジャケットは、様々なフォルムや色の組み合わせで遊び心を反映。袖は肩から袖先にかけて何パーツにも切り離せるように、さらには丈も何段階にも分けて切り離せるように設計した。パーツを切り離していくと、ベストやミディアム丈など多様なシルエットだけでなく、異なる色を組み合わせてカラーブロックを作り出すこともできる。