カルヴェン(CARVEN)の2014-15年秋冬コレクションが発表された。近年のモダンでクリーンなテイストから一転し、ちょっぴり"ワル"なスタイルを披露して観客を驚かせたメンズコレクションに続き、今までのブランドイメージとは少し異なる反抗的なスタイルを展開する。
1940年代のワードローブから着想を得た今季のコレクションに影響を与えたのは、ピカビアやブルーメンフェルド、マン・レイらによる世界的アート・ムーブメントのダダイズム。その代表的な手法コラージュや、ちぐはぐな文を生み出す文章構成ゲーム「甘美な死骸」からインスパイアされている。
角ばったショルダー部分にウエストマーク、そしてスカートの裾のレイヤードが本コレクションの基本的な3要素。戦後のグラムール・スタイルを彷彿とさせる。ショーのスタートを飾ったのは、抽象画家、セルジュ・ポリアコフの作品にみられるような鮮明なカラーパレット。ストーミーブルーやパウダーピンク、エレクトリックサフランは、戦時中のプロパガンダのような象徴的な色使いを思わせる。
テキスタイルには、花柄、レオパード、そしてシュルレアリスムパターンが用いられた。特に後半に登場した、シュルレアリスムモチーフの斬新なデザインは、洋服というよりもむしろコラージュのアート作品のようだ。素材には、クチュールタッチのマテリアルとスポーツテイストをミックスして使用。40年代当時の貧富間の矛盾を暗示した。
バッグやシューズは、コーディネートにフェティッシュなアクセントをプラス。ディティールにこだわったシューズは、高めのヒールでフェミニンに。その他にも、立体的な襟元が特徴のアウターや、スリットの延長線上に伸びたジッパーなど、遊び心のスパイスが効いたアイテムが多く揃った今季のコレクション。秩序への反抗を声高く叫んだダダイストの精神を持った、知的で力強い女性像を描いてみせた。