1955年、イリノイ州シカゴ。夫が戦死して以来、空軍で唯一の黒人女性職員として働くメイミー・ティルは、一人息子で14歳のエメット:愛称ボボと平穏な日々を送っていた。しかし、エメットが初めて生まれ故郷を離れ、ミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れた際に悲劇は起こる。エメットが飲食雑貨店で白人女性キャロリンに向けて「口笛を吹いた」ことが白人の怒りを買い、1955年8月28日、彼は白人集団にさらわれ、壮絶なリンチを受けた末に殺されて川に投げ捨てられた。我が息子の変わり果てた姿と対面したメイミーは、この陰惨な事件を世に知らしめるため、常識では考えられないある大胆な行動を起こす。そんな彼女の姿は多くの黒人たちに勇気を与え、一大センセーションとなって社会を動かす原動力となっていく――。
映画『ティル』は、1955年8月28日にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」を初めて劇映画化した作品。メイミー・ティ役は、『ティル』でゴッサム・インディペンデント映画賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、サテライト賞など数々の映画賞で女優賞を総なめにしたダニエル・デッドワイラー。製作には人気黒人俳優ウーピー・ゴールドバーグや、『007』シリーズのスタッフらが名を連ねる。