「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは“1分の友達”だ。」ヨディはサッカー場の売り子スーにそう話しかける。ふたりは恋仲となるも、ある日ヨディはスーのもとを去る。ヨディは実の母親を知らず、そのことが彼の心に影を落としていた。ナイトクラブのダンサー、ミミと一夜を過ごすヨディ。部屋を出たミミはヨディの親友サブと出くわし、サブはひと目で彼女に恋をする。スーはヨディのことが忘れられず夜ごと彼の部屋へと足を向け、夜間巡回中の警官タイドはそんな彼女に想いを寄せる。60年代の香港を舞台に、ヨディを中心に交錯する若者たちのそれぞれの運命と恋──やがて彼らの醒めない夢は、目にもとまらぬスピードで加速する。
映画『欲望の翼』は、ウォン・カーウァイが監督を務め、1960年の香港を舞台に、都市に生き、自由を求める若者たちの孤独と恋愛模様を描いた群像劇。